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最高裁判所第二小法廷 昭和33年(オ)770号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人鈴木勇の上告理由第一点について。

民法三八八条により法定地上権が成立するためには、抵当権設定当時において地上に建物が存在することを要するものであつて、抵当権設定後土地の上に建物を築造した場合は原則として同条の適用がないものと解するを相当とする。然るに本件建物は本件土地に対する抵当権設定当時完成していなかつたことは原審の確定するところであり、また被上告人が本件建物の築造を予め承認した事実があつても、原判決認定の事情に照し本件抵当権は本件土地を更地として評価して設定されたことが明らかであるから、民法三八八条の適用を認むべきではなく、この点に関する原審の判断は正当である。所論は採用できない。

同第二点乃至四点について。

所論はいずれも原審において主張した形跡のない事実を前提とするものであつて(第四点においては憲法違反をいう点もあるが実質は単なる法令違反の主張に過ぎない)上告適法の理由とならない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 藤田八郎 裁判官 池田克 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一)

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